放課後の校舎、思い思いに練習する管楽器や打楽器の音を懐かしく聞きながら廊下を進むと、中学生と小学生の兄妹が待っていた。
昨年の春、〈高山西高等学校ウインドアンサンブル部〉に併設された〈高山ジュニア吹奏楽団〉に入団した2人だ。活動が始まってからは週に1度、高校生たちに混じって同じ譜面台を前にして音を出す時間が始まった。
兄の長柄穂高さんはクラリネット、妹の梓さんはフルート。それぞれ初めて触れる楽器だが、地域のお祭りで獅子舞の笛を吹いていた経験があり、音を出すこと自体にはあまり苦労しなかったという。祭り囃子と吹奏楽。ジャンルは違えど、「息を入れて音を鳴らす」という感覚が、確かに体に残っているのだろう。
いま彼らが練習しているのは、3月14日に開かれる「卒業生お別れコンサート」で演奏する曲だ。OB・OGたちも演奏者として集まるこのコンサートは、卒業を迎える高校3年生にとっては節目となる舞台であり、兄妹にとっては入団後、初めて立つ本格的なステージでもある。
練習の時間、譜読みにつまずけば隣にいる同じパートを吹く高校生が声をかけ、指使いやリズムを教えてくれる。最初は年上の中に混ざることに緊張していた2人も、今では自然な姿で練習に参加している。本番は緊張しないかと尋ねると、「始まる前は緊張するけど吹き始めたら大丈夫」と頼もしい表情を見せた。
「楽器を使って音楽を演奏することを、限られた人がやるものではなくて誰にでもできるものにしたいと始めた活動なんです」と話すのは〈ウインドアンサンブル部〉顧問を務める永瀬敬至さんだ。自身もトロンボーンの経験があり、コンサートでは指揮者としてステージに立つ。2012年からジュニアの活動に携わり、毎年十数人の小中学生を受け入れている。
「楽器を触ったことがなかった子も中にはいるんですよ。まずは音を出すことから。扱い方がわかるとぐんと面白くなります」。習い事のように高度なことを求めて、上手に吹くことや間違えないことよりも、音を重ねるよろこびを大切にしたいという思いが、この〈高山ジュニア吹奏楽団〉には流れている。
近年、中学校の部活動はさまざまな理由から練習時間が減っているという。そんな中で、ジュニアの子たちは高校生の伸びやかな音、積み重ねてきた時間の重みを、すぐそばで感じながら練習に参加している。
上手な演奏を間近で聴き、その空気の中で音を出す経験は、技術以上のものを育てているように思える。音楽は特別な人のものではなく、誰のそばにもある。そのことを、週に1度の合奏が教えてくれている。
about
岐阜県高山市昭和町1-188-1(Google map)
開場 16時45分・開演 17時15分























