きりたんぽが恋しい季節になってきた。外が寒ければ寒いほど美味いこの鍋を食するべく、今年もこの店の暖簾をくぐらねばならない。齢89歳を迎えた秋田生まれのお母さんが20代後半に開いたという〈樽平〉。その看板は60年を超えて、今夜も明かりを灯し続けている。品書きにひしめく、アテにピッタリすぎる一品ものから攻めたくなるので、宴の序盤から酒はどうしても日本酒に。終盤にさしかかると、「そろそろだね」と満を持してきりたんぽの登場となる。秋田地鶏を使った旨みたっぷりのスープに、香り高い舞茸と中がとろっと甘いネギ、そこに作りたてのきりたんぽとたっぷりのセリ。立ち上る湯気を掻き分けお椀によそって一口啜れば、ああ、もうたまらない。今夜はこの店で良かったと、いくたびに思わせてくれるのだ。(Y)












