Editors journal | 2025.05.14

目指せ甲子園! “軟式”で身体をつくる選択肢

Real Face Interview!

「まさか、25名を超える入団希望が来るとは思っていなかった」と話すのは〈ヤング・ジェネレーション・ベースボールクラブ(YGBC)〉代表の熊﨑さん。部活動の地域移行が進む中、この春、飛騨地域初となる中学生の軟式野球クラブ〈YGBC〉が発足した。年々減少傾向にある野球の競技人口。その中でも将来を見据えて硬式を選ぶ中学生が増え、学校の部活動で実施されてきた“軟式”の人気が低迷している。だが軟式から硬式に転向する場合、3ヶ月もあれば身体が順応すると言われており、ケガのリスクが低い軟式で身体をつくってから硬式に移行することも十分に可能なのだという。「地域の中で、所属したい軟式野球チームを選べる環境を維持したい」と、地域の指導者が有志で運営を始め、現在は高山市と白川村の新中学1年生25人が1期生として練習に励んでいる。

今シーズンは一人ひとりが試合経験を積めるように、2チームで大会に参加する。試合相手は中学3年生や2年生を主力としたチームばかりだ。体格も経験値も差はあるが、子供たちは前向きだ。キャプテンを務める野中史温くんは「先輩と戦うことになる。チームを1つにして3年生にも劣らないチームになりたい」と言葉に闘志が滲む。全員で集まれる日は、土日祝日と平日週1回のみ。通例の練習メニューは子供たちが進行する。練習がない日は、習ったトレーニングを踏まえながら自主練習。各自が管理している野球ノートには、目標やその達成度などを記し、指導者と交換日記のようにやりとりしているという。中学生になりたてとは思えないほど、彼らの言葉に迷いがないことにも驚かされる。

総監督/熊﨑 太

「必要以上に大人が口を出さないようにしている」と総監督の熊﨑さん。「クラブチームとしては、ただ安心安全にスポーツをしてもらうだけではなく、人間としての心身の成長も見守る役割も担っていきたいと思っているんです」。そんな思いから、食事の講座や、メンタルの研修、野球のルールの勉強会など、親子で参加できる座学を企画。所属するメンタルトレーナーへの相談は随時可能で、子供はもちろん保護者の相談も受付けている。また地域の接骨院とも連携しており、投げ方・走り方・トレーニングメニューの考案まで、さまざまなサポート体制を敷いている。さらに、今後はクラブ内外の人に野球の魅力を知ってもらえるような事を仕掛けていきたいという。

なぜここまでのことができるのかと聞くと、「野球バカばっかりなんだよ」と笑って答える熊﨑さん。顔を合わせれば朝から晩まで野球の話ができる、そんな野球大好きな信頼できる指導者が集まっているからこそ、生半可な覚悟では子供の未来に関わる決断はできない。自分だけの覚悟だけでなく、家族や職場の理解があるからこそ、地域の大人として子供との時間に全力を注げるのだ。 野中くんが入団を決めたのは、「体験会に参加して、具体的な指導をしてもらえたり、集まっている仲間の雰囲気が好きだなと思ったから」と話す。1日練習で弁当を食べるときは、学校とプロ野球の話で持ち切りだとか。第2期生の募集に加えて、小学生を対象にしたジュニアチームの募集も始まる。白球を追いかける少年の夢を、これからも指導者一丸となって応援していく。

中学軟式野球クラブチーム
Young Generation Baseball Club

profile

熊﨑 太/クマザキ フトシ

岐阜県軟式野球連盟 高山支部
中学軟式野球クラブチーム
Young Generation Baseball Club
代表 兼 総監督

これは2025年4月25日発刊の月刊BLESS誌面にて掲載された内容です。

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