NPO法人飛騨高山わらべうたの会 / 理事長 岩塚 久案子 / 高山市役所 こども未来部 こども政策課 こども制作係 / 係長 直井 忠
ファミリーサポート事業が始まって4年が経ちました」と話すのは、この事業の事務局を担っている〈NPO法人飛騨高山わらべうたの会〉の岩塚さん。
ファミサポは国の補助事業として始まった制度で、既存の保育制度では対応しきれない保育ニーズに、地域住民(「援助を受けたい人(依頼会員)」と「援助を行いたい人(提供会員)」)が助け合うことで対応する事業だ。全国的に少しずつ広まっていき、高山市でも2021年から本格的にスタートしたが、具体的な制度設計は各市町村に委ねられているため、他地域とは細かなルールが違う。
高山市では依頼会員から1時間500円を受け取り、提供会員には市の補助が加わり1時間1,000円が支払われ(時間外料金あり)、送迎業務はしないことも高山市の特徴だ。
「『上の子の参観日に下の子を見て欲しい』『通院の間に預かって欲しい』といった理由だけではなくて、お茶や美容院に行きたいというリフレッシュのために使ってもらっても大丈夫です。対象年齢も生後3ヶ月から18歳まで幅広く、学習支援も行っています」と岩塚さん。当初数十件だった依頼も、今では月間300件を超えるという。
「インバウンドの高まりで忙しい親御さんによる土日祝日や夜間の需要も高まってきているのと、高山市は面積が広いこともあり各地域に対応できるよう、提供会員さんを増やすことが課題です」。 保育というと特別な資格が必要に思われるが、24時間の動画研修などを受けることで誰でも提供会員になることができる。
「若い方から70代まで、さまざまな年齢の会員さんがいます。もちろん男性も歓迎です」と〈高山市役所こども未来部〉の直井さん。かつて教職に就いていた男性が学習支援をしている例もあるという。
「時間帯や日数、どういった支援をしたいかなど事務局がコーディネーターとしてていねいに面談します。初めての人はベテラン会員さんに頼ることもできますし、年に1度は会員同士の意見交換会を開催するなど、何か悩んでも1人で抱えず分かちあえる仕組みづくりをしているので安心して欲しい」。
もう一度子供と関わる仕事をしたい人も、いつかやってみたいと考えていた人も、フルタイムでは難しくとも短時間でも関われるのがファミサポの利点の 1つだ。 そしてこの事業がいわゆる保育サービスではなく、依頼会員と提供会員の相互の支え合いで循環していることもあげておきたい。
無資格だった会員が保育士の資格を取るきっかけになったり、援助後も成長した姿を見せてもらったりと、提供会員の励みにもつながっているという。子育て世帯が孤立することなく笑顔で過ごすためには、家族という枠を越えた新しい形の地域のつながりが、いままた必要なのだろう。












