高次脳機能障害家族会うぐいす / 社会福祉法人 飛騨慈光会ひだ障がい者総合支援センターぷりずむ
交通事故や脳梗塞などによる脳の損傷が原因で、言語や記憶、空間をとらえる能力や感情のコントロールなどに障がいが生じる「高次脳機能障害」。「見えない障がい」といわれるくらい外見からは分かりにくいため、周囲の理解を得られず悩みを抱える当事者や家族は少なくない。高次脳機能障害家族会〈うぐいす〉は、そんな当事者と家族を支える場として発足し、12年が経つ。現在は飛騨市、下呂市、高山市の約20世帯が、情報交換や交流を重ねながら支え合っている。
この会に参加する大溝紘未さんは、18歳の時に遭った交通事故によって頭蓋骨骨折と脳損傷を負い、高次脳機能障害と診断。複数回にわたる顔面手術を乗り越えてきた。障がいを抱えながら結婚・出産を経験し、現在は家族会の立ち上げメンバーだった母と、夫、3歳になる娘と共に暮らしている。「情報量が多いと混乱してしまう」「感情のコントロールが難しい」といった自分1人ではどうにもならないことも、夫と協力して家事や育児に取り組んでいる紘未さん。家族会に参加すると「同じ名前の障がいを持っているあの人もこの人も頑張っているから、私も頑張ろうと思えます」と話す。夫の優太さんも数年前から参加するようになった。「他の家族の話を聞くことで自分だけが悩んでいるわけではないとわかりました。妻が戸惑ったり感情的になったりすることも事故の後遺症のせいだと理解でき、対応についても学ぶ機会になっています」。家族会は当事者だけでなく、支える家族にとっても大切な気づきの場となっている。
6月7日に開かれた定期総会では、個別相談会も開催された。2組の新たな相談に応じたのは、家族会のメンバーや保健師、そして飛騨圏域高次脳機能障害支援コーディネーターの日野さんだ。「相談会に来られた方や家族会の皆さんの話を課題として行政に届け、医療連携が今以上に活発になることを期待しています」と日野さんは話す。この4月には「高次脳機能障害者支援法」が施行され、「切れ目のない支援」や「地域ごとの格差解消」が国と自治体により整備されることになった。「支援法ができたことで今すぐ大きな変化はないけれど、退院後に始まる社会復帰への道筋が、知識あっての歩みであれば、つらいことがあっても頑張れるのではないでしょうか。行政や病院、福祉サービスなどの連携に加えて、家族会が包括的に支援していく仲間になれればと思います」と、家族会の現代表・穂波さんは言う。
高次脳機能障害のことも支援する団体や活動についても、まだ十分に知られていない現状を受けて、紘未さんはSNSで発信を始めた。高次脳機能障害と向き合う当事者と家族。その声に耳を傾け、知ることが、誰もが安心して暮らせる地域づくりへの1歩となりそうだ。
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