木の香り、手仕事のぬくもり、作り手との会話。そんな「本物」に触れる時間を届ける「HIDA CRAFT FAIR」が、今年は10月に開催される。木工を中心に、陶芸、ガラス、藁細工など、飛騨にゆかりのある作家たちが集う。このクラフトフェアを立ち上げたのは〈飛騨の木工房の会〉に所属する木工家たちだ。メンバーの1人である〈北々工房〉の北川さんは、20年以上続いてきた作り手たちとの交流のなかで「せっかく飛騨にはものづくりをしている人が集まっているのだから、いつかクラフトフェアをこの地でもできたらいい」と思い続けてきた。開催場所など自分たちらしいやり方を模索して、2年前に初開催となった。
全国には数多くのクラフトフェアやマルシェがあるが、その中でも「HIDA CRAFT FAIR」が大切にしているのは、「本物のものづくりを伝えること」。出店者は公募ではなく、飛騨出身者や飛騨で学んだ人、移住して活動する人など、飛騨にゆかりのある作家や、独立を目指している人へ声を掛けて集めている。「地元の人と話していると、飛騨が木工の産地だということを知らない人がまだまだいる」という課題意識もあり、地元のものづくりの価値を改めて知ってもらう場となることも目指している。
第3回目となる今回は、より多くの人に飛騨のクラフトを身近に感じてもらうため、新たな企画も登場する。その1つが、〈白百合工房〉が製作する「TSUMIBOBO」1,000体を使った「ドミノチャレンジ」。木の種類や手触りの違いを感じながら、子供から大人まで楽しめるクラフト体験の入り口となって欲しいと企画された。プロの作家が教えるワークショップなど、体験コンテンツも充実の2日間になる予定だ。「作品に触れながら、作り手から直接込められた思いや背景を聞くことで、ものの見方が変わると思うんです」と北川さんは語る。また、若手作家を応援する「チャレンジブース」も継続。昨年この仕組みを利用した〈mou〉の牛田さんは、「今年は正式な出店者として参加します」。事前の出店講座などもあり、「HIDA CRAFT FAIR」は次世代の作り手が育つ場にもなっている。「自分も〈kochi〉の東さんから出店のノウハウなどを教えてもらってきました」と話すのは〈白百合工房〉の上野さん。「同業としてライバルでもありますが、オープンに教えあえることが飛騨のものづくりを育むことにつながると思います」。 作り手と使い手、そして作り手同士が出会い、作品を通して会話が生まれる。「HIDA CRAFT FAIR」は、ものを売り買いするだけではなく、飛騨に根付くものづくりの文化を手渡していく場でもあるのだ。
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