その声がどうにも胸に沁みるように聞こえ出したのはいつの頃だったろう?思い返せばそれは、彼が民謡に心を傾け始めた頃に分岐点があった気がする。野麦学舎を保存会が運営することが決まり、その集落で歌われてきた「野麦イササ」と出会った時、「誰かが歌わなければなくなる唄だと思った」という空五郎さん。その歌詞に惹かれ、旋律に惹かれ、いつしか民謡を唄うことは彼の人生の重要なライフワークになった。DNAに沁み込んだ唄を歌えば、人の輪ができ踊りが始まる。「人が作れる平和ってこういうものじゃないかな」ライナーノーツにそう記した彼。その思いはもとより、胸に響くその旋律を繰り返す中で彼が獲得してきた唄の「説得力」ともいうべきものが、この音源を白眉なものにしている。この沁みる唄声、夏の夜には誠に良き、なのでお聴き逃しなく。
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